息子を保育園に送った帰り道のこと。
「この辺で、いちばん近い皮膚科はどこですか?」
80歳半ばぐらいのおばあちゃんから、道を尋ねられたのです。
「えっと・・・ですね〜」。
思い当たる皮膚科は、その場所から歩いて15分ほどでしょうか。8時半、ぐんぐん気温が上がり始め、この坂道を下りて、あの角を曲がって、それから〜・・・。
想像すると、手押し車のおばあちゃんにはしんどい道のりかなと思いました。お話を聞いてみると、引っ越されて間もないのか、土地勘があまりないとのこと。だとすると、この説明だけでは不親切かもしれません。
「すみません、なんか分かりづらい説明で・・・。」と詫びる私に、微笑むおばあちゃん。
「いやいや、お忙しいのにスミマセン、ありがとうございました。途中で分からなくなったら、また誰かに聞きますから。」
うんと年下の私に丁寧なお礼を述べられ、ぺこっと会釈。
ゆっくりと坂道を下って行かれました。
”分からなくなったら、また誰かに聞きます”
便利なツールがなくとも、口で尋ね、耳で聞き、自分の足で歩んでいく。
あぁ、きっとこの方はこうやって実直に生きてこられたんだなぁ、と・・・・。どう表現してよいのかうまいこと綴れないのですが、自分が自分のことを頼りにしている。頼りがいのある自分がいつも傍にいる。すごくステキだなと思いました。
今の自分が出来る範囲でやっていく、ゆっくりでもいいので。
もっとできるはずなのに、もっとやれるはずなのに。
そんなスパイラルに陥っていた私。
「このスパイラル、どうやったら抜け出せますか?」
道を尋ねられたのは私なのに、教えてもらったのは私の方でした。
おばあちゃん、ありがとうございます。
私も、私自身が頼りたくなるような私に成長できるよう、前へ進みますね。