ミカドヤな日常

アートディレクター/グラフィックデザイナーの夫とイラストレーターの妻の日常です。ミカドヤのHPはコチラ:design.mikadoya.jp

西日本に榮あり。

先日、お世話になった会長が急逝されました。

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通夜では生前の会長の姿がスクリーンに映し出され、20年前のあの頃を思い出しておりました。

 

会長はまるで山のような恰幅と相成って豪快な反面、社員一人一人に気を配るとても繊細な方。それは当時アルバイトだった私にも同じでした。(ちなみに私は25歳までダラダラ金髪フリーター。)

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「ハイ、オツカレサン。」
超重低音ボイスと缶コーヒー片手に私の隣にドッカと座り、「よう家永くん。キミはバンドやってるんだろ?どうなの?食っていけてるの?演る側よりライブハウス経営やってみんか?金なら出すよ。自分の店ならライブやり放題だぞ。」といつも誘われていました。

 

会長はとにかく新しいことやギラギラした人間が大好き。事業と関係ないことでも、社員が「これやりたいです!」と言ったら「やってみろ!」と豪快に判を押す人でした。

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休みともなるとそそくさとタイ旅行に行く北九州支店のI富さんの話を聞きつけ、「おいI富、そんなにタイが好きならお前タイで店やってみろ!金は出すから。」とゴーサインし、その数ヶ月後、I富さんはタイに移住。『写楽』という日本料理店のオーナーになられました。
元々髭ロン毛だったI富さんも帰国するたびその高崎晃ばりの容姿に磨きがかかり、最終的にはもう日本語が上手いタイ人にしか見えなくなっておりました。

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社員旅行も豪快で、行き先はロサンゼルス、バリ、京都の3つのコースを用意。その中からおのおの好きな場所を選べるというなんとまぁバブルなこと。。「家永くんは社員じゃないから積み立てないけど、好きなとこ3万円で行っていいぞ」という誘いにも、スタジオ練習があるからと断った私。。(ホントバカっ!!)

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ちなみに経理部だった妻は京都を選んでいたのですが、総務部のマザーテレサ・I上姉さんに「美和ちゃん、京都はいつでも行ける。アナタは若いから海外に行ったほうがいい!」と説得され、悩んだ挙げ句、4泊6日のバリ旅行を楽しんできたのでございます。(代わってくれ!)


 

10年前、ドコモ大名行列の広告を目にした会長が、「あれは家永くんがやったのか!すぐ連絡しろ」ということで、気づけば私は会長席の隣で役員さんたちに囲まれ話を聞くことに。 

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一通り皆さんとの談笑が終わったあと、おもむろに私のヒザをトンと叩き、「よし!家永くんがウチの広報トップとして入ってくれるということで、これでウチもビシッと一本筋が通ったというもんだな!」とガハハハと笑う会長。(おいおいおいおい!聞いてない聞いてない!!!笑)

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丁重にお断りした帰り際、「あのバンドマン家永くんと中山くん(妻の旧姓)が一緒になって、しかも独立してやってるとはなぁ。立派になったなぁ。。」と感慨深げにおっしゃってくださったこと、昨日のことのように覚えています。

 

 

会長がこしらえてくれた会社で私と妻は出会うことができました。
今の私たちがあるのも会長のおかげだと言っても過言ではありません。

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切った張ったの世界を走り続けてこられた会長。
逆立ちしても真似できないほど波瀾万丈だったぶん、しばらくゆっくりされてください。

 

本当にありがとうございました。

 

ミカドヤ
家永啓介(元広告部)
家永美和子(元経理部)