ミカドヤな日常

アートディレクター/グラフィックデザイナーの夫とイラストレーターの妻の日常です。ミカドヤのHPはコチラ:design.mikadoya.jp

デザインの日。

本日10月1日はデザインの日。
日常にあるデザインを見直してみるいい機会かもしれません。

 

数ヶ月前、大分の旅館さんでもあるクライアントから「娘がデザイナーになりたいと言っているんですが、オススメの学校はありますか?何を見たり勉強したらいいですかね?」とありましたが、とにかく私は「まずは体力をつけたほうがいいです!(笑)」と答えました。


クリエイター同士で『デザイン論』みたいなことを話してたら恥ずかしくなって席を外してしまう私が、ただ、その娘さんに対して改めてアドバイスできるなら、全てを盗みたくなる上司に出会える会社に行くこと(上司を超えたら次の会社に行くこと)、と言いたいところですが、学生であれば、まずは「いい本」に出会うことじゃないかなと思います。答えの無い世界ですから、自分で完結しないといけないことが常にあります。その時に本は自分の背中をたくさん押してくれます。


例えば私で言うと、バイブルでもある大貫さんと副田さんの本を暗記するほど目を通し、

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サルガドの写真集やアイヴァンチャマイエフ&ガイスマーからレイアウトやロゴを勉強し、

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杉浦康平さんやヘルベチカの本を読んで文字の奥深さを知り、

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湯を沸かす度に柳宗理の究極の美と合理性を肌で感じ、

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既成概念にとらわれそうな時はテリーリチャードソンの写真集を見て「何やったっていいんだ!」と刺激をもらうというのはいかがでしょうか?(ただし、この本は刺激が強いので女性は特に閲覧注意!)

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また、最初に挙げた大貫卓也さんの本は限定完売品ということもあり、今では状態のいいものでも10万円超えで販売されていますので、学生さんには全仕事の第一弾をオススメします。これも十分バイブルです。

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でも一番いいのは外を歩くこと。

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平均的なアメリカ人は1日に16,000もの広告、ロゴ、ラベルを見て暮らしているといいます。通勤通学中、散歩中、待ち合わせ中、なんでもいいです。目の前の景色を見てください。

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例えばねぎ(犬)散歩の道すがら『春夏冬』というスナックの看板があります。
「ん?なんで秋がないんだ?『商い?』飽きが来ないよう『飽きない?』」と想像したり、これまた近くの赤木歯科のロゴタイプ明朝体やゴシック体・丸ゴシック体、色もオレンジや青、都度作られたと思われるほどバラバラです。とくに青色で赤木と書いてあるのが非常に気になり、「せめてものどこか赤色を入れたらよかったのに、あ、でも血を想像させるから止めたのかな?まてよ、自分ならどうするかな?」と色々立ち止まって考えるクセをつけることです。車では見逃しそうなことも、歩けば空想の世界がより広がります。

デザインは特別なものでも高尚なものでも何でもないんです。ただ世の中にはデザインされていないものはありません。その中で優れたデザインやアイデアには全て意味があり、今もずっとずっと残っています。
例えば今日だけメディアの情報は止めにして、目の前にある「モノ」や「コト」を色々観察してみてはいかがでしょうか?
(おいキミ、ずいぶん『デザイン論』語ってねーか?笑)

 

いつかその娘にこのブログが当たりますように。