『仁義なき戦い』で手を変え品を変え、
一番再登場したのは松方弘樹でありますが、
シリーズイチいい仕事は、坂井でも藤田でも、はたまた『新・仁義なき〜』の関でもなく、
やはり完結編の市岡でございます。
市岡の常軌を逸したあの狂気を表現するために、
目玉の中に紅を入れ、不気味な赤目の演出をしたのは有名な話であります。
(市岡怖え〜〜)
といっても私、松方映画全てを観てるわけではありませんが、
彼の作品の中で特に何度も見返した大好きな映画があります。
『脱獄広島殺人囚』と、
『暴動島根刑務所』です。
とくに『脱獄広島〜』に至っては、松方のありえない根性と野良犬のような生きざまに
若かりし僕らは「スゲ〜〜!」「ありえね〜っ!!」と笑いと雄叫びを上げて観ておりました。
・・・この時点でお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、
偶然にも今年のミカドヤの年賀状はこの松方作品をオマージュさせていただいてました。
制作中、何度も何度も松方のポスターを見ながら、
「松方ぁ〜〜、松方ぁカッコエエ〜〜」とため息漏れた師走の夜。。
それがまさかこんなことになるとは。。。です。
松方さん、素晴らしい作品、狂気に満ち満ちた演技、本当にありがとうございました。
また一人昭和の、東映の映画人が飛び立っていくのは非常に悲しいのですが、
向こうで東映の仲間と一杯やりに行ってると思えば不思議と笑みがこぼれます。
晩年の松方のベストアクトは間違いなく『十三人の刺客』だと思います。
七十に近い年齢にも関わらず、あの殺陣は他のどの役者も比べものにならなかった。
昔と何ら変わらない主役を喰う存在感、一瞬で胸熱く鑑賞していた学生時代にトリップしました。
松方がいたのであの映画はビシッと締まってました。
そうです。松方はずっと映画の中で生きている。
会おうと思ったらいつでも会えるのです。
「松方ぁカッコエエ〜〜!!!」