ミカドヤな日常

アートディレクター/グラフィックデザイナーの夫とイラストレーターの妻の日常です。ミカドヤのHPはコチラ:design.mikadoya.jp

意味深な鳴き声。

あれは、秋口の夕方も夜に近い日でした。
マンションの階段の登り口に本田さんがいました。
一通り相手をして貰い、さぁ帰ろうと挨拶を済ませ階段を登ろうとすると
私の足下に「ニャ〜ぁ」と寄ってくるではありませんか。
後ろ髪引かれる思いでしたが、本田さんに敬意をはらって再度お別れの挨拶をし
本格的に帰ろうとすると珍しく階段を何段か登ってこようとするのです。
「自分」と「人間」をきちんとわけまえている本田さんには珍しい行動だったので
驚いたのを覚えています。
ただならぬ空気感に「もしや…お別れの挨拶なのか…。」
ネコは死に姿を飼い主に見せないと聞いたことがあります。
ネコ科のライオンも同じらしく、どうも、弱っている姿を敵方に見られるとまずいということで
自ら姿をくらまして静かに一生を終えていく…らしいです。(「らしい」です。)
私は飼い主ではありませんが、心配でなりませんでした。
追い打ちをかけるように、それから数日間…数週間と本田さんの姿は無く
こりゃ本格的にやばいぞと覚悟を決めました。
決して若いとは言えませんでしたし、夏の残暑もいけなかったのでしょう。
たくさんの思い出をくれた本田さんにこれ以上おねだりもしてはいけません。
サヨウナラ本田さん。


それから何日か経って、同じように本田さんを可愛がっていた「本屋さん」(いつも大量の本を運んでいるので)と挨拶をしました。
本屋さんとは過去に何度か本田さん(…まぎらわしい)の話をしていたのですが
「あのネコちゃん、いりこが好きみたいですね。昨日もあげたんですよ。」
と、食べ残しのいりこが数匹…。ぁ…。


あの意味深な鳴き声は単なるいりこの催促だったのか?
しばらくの間、姿をくらましたのも単なる風来坊だからなのか?
本田さんが野良ネコだと言うことを思い出した瞬間でした。
〜次回〜「本田さんのご近所付き合い。」